電気シェーバー選びでいちばん多い失敗は、刃の枚数だけで決めることです。「5枚刃だから上位」という理解で買うと、方式が肌やヒゲに合わず、結局使わなくなります。先に決めるべきは、駆動方式・手入れの方式・替刃を含めた総額の3つです。刃の枚数は、この3つを決めたあとの調整項目にすぎません。
先に結論
- 毎日剃る・ヒゲが濃い往復式。駆動力の高い3万円台クラスだと朝の時間が短くなります。まず往復式から検討します。
- ヒゲが薄い・数日おきに剃る回転式。刃の動きがゆっくりで音が静かです。押し付けずに使う方式なので、剃りに時間をかけられる人向きです。
- 出張・ジム用のサブ機1万円未満の往復式コンパクトタイプ。替刃の供給が続いている主要シリーズを選ぶのが条件です。
基準1:駆動方式|往復式か回転式かで、剃り方そのものが変わる
電気シェーバーは大きく2方式に分かれます。往復式は、外側の網刃でヒゲを捉えて、内側の刃が高速に往復して切る方式です。国内で売られているモデルの主流で、肌の上を直線的にストロークして剃ります。回転式は、円形のヘッドの中で刃が回転する方式です。円形ヘッドが3つ付いた形が代表的で、肌の上で円を描くように、ゆっくり動かして使います。
この違いは好みの問題ではなく、剃るスピードと使い方の問題です。往復式は刃の動きが速いぶん、短時間で剃り終えられます。そのかわり動作音は大きめです。回転式は音が静かで、押し付けずに使う設計ですが、剃り終わるまでに時間がかかります。急いで往復式のように直線的に動かすと、うまく剃れません。方式ごとに正しい動かし方が違う、という点は買う前に知っておくべきことです。
生活の場面に落とすと選びやすくなります。家族が寝ている早朝に洗面所で剃るなら、動作音の静かな回転式に分があります。出勤前の5分で確実に剃り終えたいなら、速さで勝る往復式です。方式の優劣を一般論で議論するより、自分の朝の動線に当てはめるほうが、答えは早く出ます。
| 方式 | 刃の仕組み | 剃る速さ | 動作音 | 剃り方 |
|---|---|---|---|---|
| 往復式 | 網刃で捉えて内刃で切る | ◎ | △ | 直線的に往復させる |
| 回転式 | 円形ヘッド内で刃が回転 | ○ | ◎ | 円を描くように滑らせる |
ヒゲが濃く毎朝剃るなら往復式、ヒゲが薄めで音を抑えたいなら回転式、というのが基本の分かれ方です。肌質・ヒゲ質ごとの詳しい選び分けは、次の記事にまとめています。
あわせて読む"往復式と回転式のシェーバー|肌質で選び分ける"もう1つ、方式とは別にヘッドの構成も見ておきます。ほとんどのモデルには、もみあげや長く伸びたヒゲを処理するためのトリマー刃が付いています。ヒゲをデザインして整える使い方をするなら、トリマー刃の位置と出し方が使い勝手を左右します。数日おきにしか剃らない人も、伸びたヒゲを先にトリマーで短くしてから本体の刃を当てる、という順序で使うことになるため、トリマー刃は飾りではありません。
方式と合わせて、充電まわりも確認しておきます。現在の主流は充電式で、フル充電での使用可能時間と充電時間がカタログに載っています。1回の髭剃りは数分なので、使用可能時間が短くても日常では困りませんが、旅行や出張が多いならUSB充電に対応したモデルや急速充電の有無が効いてきます。海外で使うなら対応電圧の表記も見ておきます。
基準2:手入れの方式|洗えるかどうかで清潔さの維持コストが決まる
シェーバーは毎日肌に当てる道具なので、手入れのしやすさが使い続けられるかを左右します。見るポイントは3つです。本体まるごと水洗いできるか、お風呂で使える防水等級か、自動洗浄機が付くかです。
まず水洗い対応は、現在の主要モデルではほぼ標準です。ヒゲくずを毎回流せるかどうかで、刃の切れ味の持ちも変わります。カタログでは「IPX7」のような防水等級で表記されます。IPX7は一時的な水没に耐える等級で、この水準ならヘッドを流水で洗えます。お風呂剃り対応をうたうモデルは、シェービングフォームなどを付けて剃るウェット剃りを想定した設計です。洗面所で乾いたまま剃るのか、お風呂で剃るのかは、購入前に決めておくべき使い方の分岐です。
自動洗浄機は、置くだけで洗浄・乾燥までを済ませる付属品です。便利ですが、専用の洗浄液カートリッジが消耗品として毎月のコストに加わります。手洗いで続けられる人には必須ではありません。洗浄機の有無は上位モデルと中位モデルの価格差の一因でもあるので、「洗浄機なしの同シリーズ」が選べるかを確認する価値があります。手洗い派は、水洗いのあとよく乾かすことと、メーカーが推奨する潤滑油の注油を守れば、刃の性能を保てます。
洗ったあとの乾燥も軽視できません。ヘッドを濡れたまま閉じておくと、刃のまわりに水分とヒゲくずが残ります。毎日肌に当てる道具である以上、洗って乾かすまでが手入れです。洗面所に置き場所を作れるか、洗浄機を置くならそのスペースがあるかも、購入前に確認しておくと失敗がありません。
基準3:替刃を含めた総額|本体価格だけで比べない
電気シェーバーはランニングコストのある家電です。メーカーは替刃の交換周期を公表しています。パナソニックは外刃が約1年・内刃が約2年、ブラウンは網刃・内刃一体のカセットを18か月ごと、フィリップス(回転式)はヘッドを約2年ごとの交換を推奨しています。掲載時点の各社公式サイトの記載です。
つまり5年使うなら、替刃を2〜3回買うことになります。替刃の価格はモデルのクラスによって差が大きく、本体が安くても替刃が高いと総額で逆転が起きます。当サイトの試算では、替刃代は5年総額の3〜4割を占めました。候補を2つまで絞ったら、替刃の型番と価格を確認してから決めるのが失敗しない手順です。試算の詳細は次の記事にあります。
年額に直すと違いがつかみやすくなります。たとえば本体15,000円のモデルを5年使い、その間に5,000円の替刃を3回買うと総額30,000円、年あたり6,000円です。月に直せば500円で、T字カミソリの替刃を毎月買うのと同じ桁の出費になります。「電気シェーバーは高い」という印象は、本体価格だけを見たときの錯覚だと分かります。逆に、本体が安くても替刃が高いモデルは年額で差が縮むため、店頭の値札の差は総額の差とは一致しません。比較は年額か5年総額に揃えてから行ってください。
あわせて読む"シェーバーの替刃コストを含めた総額で比べる"本体の価格帯については、1万円台と3万円台で何が違うのかを別記事で整理しています。価格差の中身は主に駆動力・ヘッドの追従機構・付属品で、刃の枚数そのものではありません。差額が毎日効くのはヒゲが濃い人で、そうでなければ1万円台クラスで足りるケースが多い、というのが結論です。
あわせて読む"3万円台のシェーバーは1万円台と何が違うのか"買うタイミング|替刃と一緒に買い回りに載せる
電気シェーバーは主要シリーズが概ね年1回のペースで更新される商品です。新型と旧型の機構差は小さい年が多く、新型が出たあとの旧型は価格だけが下がります。急ぎでなければ、楽天のお買い物マラソンやスーパーSALEの期間に、この旧型在庫を狙うのが定石です。父の日やボーナス期は需要が増える時期なので、値ごろ感より品揃えを重視する時期と割り切ります。毎日使うモーター製品なので、購入時にはメーカー保証の期間と、販売店の延長保証の条件も確認しておくと安心です。
買い回りとの相性も良い商品です。本体と替刃は別店舗で売られていることも多く、本体・替刃・洗浄液カートリッジで店舗数を稼げます。同じ洗面所の家電として、電動歯ブラシの替えブラシをまとめる買い方も成立します。電動歯ブラシについては別記事があります。ポイント倍率は変動するので、購入時にエントリー条件を確認してください。
替刃の交換周期は1〜2年と分かっているので、次の交換分をセール時に先回りで買っておく手も使えます。替刃は型番さえ合えば腐らない消耗品で、値動きも本体より小さいため、ポイント倍率の高いタイミングでまとめて確保しておくと総額が下がります。
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よくある質問
刃の枚数は多いほど深剃りできますか
枚数は「1ストロークで処理できるヒゲの量」に効く要素で、多いほど少ない往復で剃り終えやすくなります。ただし深剃りの度合いは、網刃の薄さやヘッドが肌に追従する機構の影響が大きく、枚数だけでは決まりません。同じメーカーの中では枚数がグレードの目印になりますが、メーカーをまたいで枚数だけを比べても優劣は判断できません。枚数は同シリーズ内のグレード差として見るのが正確です。
T字カミソリと比べてどちらが得ですか
費用の構造が違います。T字カミソリは本体が安く替刃の交換頻度が高い、電気シェーバーは本体が高く替刃の交換が1〜2年に1回です。剃り方も、刃を肌に直接当てるT字と、網刃越しに切る電気シェーバーで仕組みが異なります。肌への当たり方の感じ方には個人差があるため、コストは総額で、使用感は方式の仕組みで、分けて判断してください。
替刃はいつ交換すればよいですか
メーカー推奨は往復式で外刃約1年・内刃約2年(またはカセット18か月)、回転式で約2年です。刃こぼれは目視では分かりにくいため、「剃り残しが増えた」「同じ場所を何度も往復するようになった」が実用上のサインです。交換周期はヒゲの濃さと使用時間で前後します。交換用の刃が手に入らなくなった時点が、実質的な本体の寿命です。購入時に替刃の型番を控えておくと、交換のたびに調べ直さずに済みます。本体の箱や説明書に対応替刃の型番が記載されているので、写真を撮っておくのが手軽です。