口腔洗浄器選びでいちばん多い失敗は、カタログに載っている水圧の数値で順位をつけることです。水圧の表示は測定条件がメーカーごとに違い、単位すら揃っていません。実際に使い勝手を分けるのは、タンク容量と水圧の調整段数の2つです。
先に結論
- 洗面台に置き場所がある据置型。タンク200mL以上なら、給水せずに一度で終えられます。
- 洗面台が狭い携帯型かシャワーヘッド一体型。置けない機器は、そのうち使われなくなります。
- 水圧の数値比べません。何段階に切り替えられるか、その1点だけを見ます。
これは「歯間の汚れを水流で洗い流す」機器です
最初に、この機器が何をするものかをはっきりさせます。ノズルの先から出る細い水流で、歯と歯のあいだや歯と歯ぐきの境目にたまった食べかすや汚れを洗い流す装置です。ブラシで歯の面をこする道具ではありません。
この機能に意味がある理由は、歯垢がうがいでは落ちないからです。厚生労働省 e-ヘルスネットは、歯垢(プラーク)を「口の中の常在菌とその産生物からなる、歯の表面に付着した白く柔らかな沈着物」と説明し、粘着力があって水に溶けないため、うがいだけでは取り除けないとしています。除去は歯ブラシによる機械的な清掃が基本で、歯と歯のあいだにできた歯垢はブラッシングでは取り除きにくいため、歯間ブラシやデンタルフロスなどの歯間清掃用具を使うことがすすめられる、とも説明されています。
口腔洗浄器は、この「歯と歯のあいだ」に水流で届く機器という位置づけです。歯垢そのものを水流だけで落としきる機器として説明されているわけではありません。
もう1つ、買う前に必ず確認してほしいことがあります。家庭用の口腔洗浄器は、製品によって法令上の区分が異なります。区分が違えば、メーカーが表示できる効能の範囲も変わります。その製品が何をうたっているかは、メーカーが公式サイトや取扱説明書に表示している効能の範囲で確認してください。販売ページの見出しや、第三者が書いたレビューの表現ではありません。ここを混同すると、期待したことと機器ができることがずれます。
電動歯ブラシとの役割の違いは、別記事で整理しています。
あわせて読む"電動歯ブラシと口腔洗浄器は両方いるのか"カタログの水圧は、横並びで比べられない
製品ページに「最大○○kPa」と書いてある製品と、何も書いていない製品があります。この2つを比べることはできません。理由は3つです。
1つめは、そもそも表示していないメーカーがあることです。国内大手の水流洗浄器では、圧力の数値ではなく「水圧レベル10段階」のような相対的な表示だけを公開している製品があります。数値がない製品は、数値が低いのではなく、別の表し方をしているだけです。
2つめは、測定条件が揃っていないことです。水圧は、使うノズル、吐水量、測る位置、バッテリーの残量で変わります。家庭用口腔洗浄器の水圧表示について、各社共通の測定規格は公開されていません。同じ「500kPa」でも、何をどう測った500kPaなのかが違えば、比べたことになりません。
3つめは、高いほど良いわけではないことです。強すぎる水流は痛くて続きません。続かない機器は、買っていないのと同じです。上限の数値を競う意味は、家庭用ではほとんどありません。
結論として、数値は判断に使いません。使うのはタンク容量と、水圧の調整段数です。
タンク容量は「途中で止まらずに済む秒数」のことです
タンク容量は、そのまま連続使用時間に置き換えられます。式はこうです。
- 連続使用時間(秒)= タンク容量(mL)÷ 1秒あたりの吐水量(mL)
1秒あたりの吐水量は製品ごとに違いますが、目安は公開仕様から逆算できます。国内メーカーの据置型では、タンク容量約600mLで連続使用時間が約3分と表示されている例があります。600mL ÷ 180秒で、毎秒およそ3.3mL、毎分およそ200mLです。この毎分200mLを目安にすると、容量クラスごとの秒数が出ます。
| タンク容量クラス | 連続使用の目安 | 1回あたりの給水 | 総合 |
|---|---|---|---|
| 100mL以下(携帯型の小型) | 約30秒 | 1回では足りないことが多い | △ |
| 130〜200mL(携帯型の標準) | 約40〜60秒 | ほぼ給水なしで終わる | ○ |
| 300mL前後(据置型の小型) | 約90秒 | 給水なし | ◎ |
| 600mL前後(据置型の大容量) | 約3分 | 給水なし。2人で使っても足りる | ◎ |
この表の秒数は毎分200mLで計算した目安です。実際の秒数は製品の仕様表に「連続使用時間」として書かれていることが多いので、そちらを優先してください。書かれていない場合に、この式で見当をつけます。
何秒必要かは人によりますが、判断の基準ははっきりしています。タンクが空になった時点で、水を足すか、そこでやめるかの分かれ道が来ます。洗面台の前で給水する動作が毎回入ると、続ける人と続かない人に分かれます。タンク容量で買うべきは「秒数」ではなく「給水の回数をゼロにできるか」です。
逆に、大きいほど良いわけでもありません。600mLのタンクは水を入れると600g増えます。本体は大きくなり、洗面台の面積を占有します。使い終わったら水を捨てて乾かす手入れも、容量に比例して面倒になります。
水圧の段数は「上」ではなく「下」を見る
調整段数を見るとき、多くの人は最強の段を気にします。見るべきは逆です。いちばん弱い段が、どれくらい弱いかを確認してください。
理由は使い始めにあります。慣れないうちは弱い水流でも刺激を感じます。最初から強い段で使うと、痛くて翌日から使わなくなります。段数が2段階しかない製品は、弱い側が思ったより強いことがあります。3段階以上あれば、弱いところから始めて、慣れに合わせて上げていけます。
段数の数え方には注意が必要です。連続水流とパルス水流のようなモード切替を段数に含めて表示している製品があります。仕様表で「水圧レベル」と「モード」が分けて書かれているかを確認してください。5段階と書いてあっても、水圧そのものは3段階ということがあります。
使用中に気になる症状がある場合は、機器の設定を変える前に歯科医院で相談してください。公益社団法人日本歯科医師会は8020運動のなかで、定期的な歯科受診と正しい歯みがき、歯間清掃用具の使用をすすめています。機器はその補助です。
タイプで決まるのは、水圧ではなく置き場所です
形状は3つに分かれます。差が出るのは水圧ではなく、置き場所と給水の手間です。
| タイプ | タンク容量クラス | 置き場所 | 給水の手間 | 総合 |
|---|---|---|---|---|
| 据置型 | 300〜600mL | 洗面台に常設。コンセントが要る | 数日に1回 | ◎ |
| 携帯型(充電式) | 100〜200mL | 引き出しに収納できる | 毎回 | ○ |
| シャワーヘッド一体型 | タンクなし(水道直結) | 浴室。設置に付け替えが要る | 不要 | ○ |
据置型は容量と水圧の幅で有利ですが、洗面台に常設できることが前提です。携帯型は場所を取らないかわりに、タンクが小さいぶん給水の頻度が上がります。シャワーヘッド一体型は給水が要らないかわりに、使う場所が浴室に固定されます。
どのタイプが続くかは、洗面台の広さと、どこで使うかで決まります。この判断は別記事で詳しく書いています。
あわせて読む"据置型と携帯型の口腔洗浄器|どちらが続くか"買うタイミング
口腔ケア家電は、楽天スーパーSALEやお買い物マラソンの対象になりやすいカテゴリです。単価が1万円前後に収まる製品が多く、買い回りの土台としては軽いほうです。本命の高額品がある月に、その注文とまとめるのが効率的です。
買い回りで増えるポイントは店舗数ではなく合計購入額にかかります。1店舗増やして増えるのは、合計額のおよそ1%です。この機器を「あと1店舗」の穴埋めに使うと、順番が逆になります。買うと決めてから、店舗数を数えてください。
あわせて読む"お買い物マラソンの買い回り|10店舗の埋め方"もう1つ、本体だけでなく替えノズルの入手性も見ておいてください。ノズルには交換の目安がメーカーから示されています。同じ店で替えノズルも扱っているなら、次回の買い回りで1店舗ぶんに使えます。価格・在庫・ポイント倍率は変動しますので、購入前に販売ページで確認してください。
よくある質問
歯ブラシの代わりになりますか
なりません。e-ヘルスネットは、歯みがきを「歯面からプラークを機械的に除去することを目的とした予防法」と説明しています。歯の面をこすって落とす作業と、歯間に水流を通す作業は別です。口腔洗浄器は、歯みがきに足す道具として考えてください。
水圧が高い製品ほど汚れが落ちますか
そう考えないほうがいいです。まず、各社の水圧表示は測定条件が揃っておらず、数値どうしを比べられません。次に、強い水流は刺激が強く、続けられなければ意味がありません。弱い段から始めて、痛みが出ない範囲で使うほうが現実的です。
口臭が気になるのですが、これで解決しますか
機器で口臭が解決すると書くことはできません。e-ヘルスネットは、口臭の大部分は口の中に原因があり、その多くは舌苔と歯周病であると説明しています。同ページでは、対策として舌の清掃による舌苔の除去が挙げられています。自覚がないまま家族から指摘されるような場合は、歯科医院での検査・治療が必要とされています。まず歯科で相談してください。