部屋干しが乾かないという悩みに、除湿機と衣類乾燥機はどちらも効きます。ただし効き方が違います。除湿機は部屋の空気から水を抜き、乾いた空気に衣類の水分を引き取らせる機械です。衣類乾燥機は、衣類から直接水を抜きます。この違いが、速さ・電気代・部屋の条件のすべてを分けます。
先に結論
- 2時間以内に乾かしたい衣類乾燥機。時間で選ぶなら、直接水を抜く機械にしか出せない速さです。
- 朝までに乾けばいい除湿機。本体が安く、洗濯物がない日も部屋の湿度対策として働きます。
- 量が多い・大物がある除湿機。乾燥機は容量で頭打ちですが、除湿機は干せる場所ぶんだけ対応できます。
水の抜き方が違う
衣類乾燥機は、閉じた庫内で衣類に温風を直接当て、出てきた水分を機内で回収します。対象は庫内の衣類だけなので、部屋の広さや気密性は結果に関係しません。乾く時間は、入れた量と機種の能力だけで決まります。
除湿機は間接的です。部屋の空気から水分を抜いて湿度を下げ、その乾いた空気が洗濯物から水を受け取ります。洗濯物を乾かしているのは除湿機ではなく、乾いた空気のほうです。だから部屋が広い、窓や隙間から湿った外気が入る、といった条件で効きが落ちます。締め切った狭い部屋がいちばん効く、という性質はここから来ています。
もう1つ、除湿機で効くのは風です。濡れた衣類の表面には、水蒸気で飽和した薄い空気の層ができます。この層があるあいだ、そこから先へは水が蒸発できません。風を当てて層を吹き飛ばすと、蒸発が再開します。衣類乾燥モードのある除湿機が強い送風口を持っているのはこのためで、送風のない機種ならサーキュレーターの併用でほぼ同じ効果が出ます。
この原理は、干し方にも効きます。衣類の間隔を10cm前後あける、厚手と薄手を交互に並べる、風の通り道を作る。これだけで乾く時間が変わります。除湿機を買う前に試す価値のある調整です。
除湿機の方式は、使う季節で決まる
除湿機には3方式あり、得意な季節がはっきり分かれます。ここを外すと、能力が出ない時期に使うことになります。
コンプレッサー式は、エアコンの除湿と同じ原理です。空気を熱交換器で冷やして結露させ、水にして回収します。気温が高いほど空気が多くの水蒸気を含めるので、結露させられる量も増えます。梅雨から夏に強い方式です。消費電力が小さく、室温もあまり上がりません。弱点は低温で、気温が下がると除湿量が落ちます。コンプレッサーを積むぶん本体は重く、運転中の振動音があります。
デシカント式は、ゼオライトなどの乾燥剤に空気中の水分を吸着させ、その乾燥剤をヒーターで加熱して水分を追い出し、冷やして水に戻します。気温に左右されないため、冬でも除湿量が落ちません。本体が軽く、コンプレッサーがないぶん静かです。弱点はヒーターで、消費電力が大きく、運転すると室温が数度上がります。冬の脱衣所では利点になりますが、夏の締め切った部屋では暑さがこたえます。
ハイブリッド式は両方を積み、気温で切り替えます。通年で能力が安定するかわりに、本体価格が上がり、サイズと重量も大きくなります。毎日通年で回すなら選ぶ価値があります。
| 方式 | 夏の除湿量 | 冬の除湿量 | 消費電力 | 室温への影響 | 総合 |
|---|---|---|---|---|---|
| コンプレッサー式 | 大きい | 落ちる | 小さい | ほぼ上がらない | ○ |
| デシカント式 | 安定 | 安定 | 大きい | 数度上がる | ○ |
| ハイブリッド式 | 大きい | 安定 | 中間 | 季節で切り替え | ◎ |
能力の欄も見てください。除湿機のカタログには適用床面積が木造と鉄筋コンクリートで別に書かれています。木造は気密が低いぶん、同じ機種でも対応できる畳数が小さくなります。自宅の構造のほうの数字で選んでください。
電気代は、方式によって3倍近く違う
1回あたりの電気代は、次の式で出せます。単価の31円/kWhは、公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会が2022年に改定した目安単価です。
1回の電気代(円)= 消費電力(W)÷ 1000 × 運転時間(h)× 31円
仮の値で並べます。コンプレッサー式除湿機を200Wで5時間なら1.0kWh、約31円。デシカント式除湿機を600Wで5時間なら3.0kWh、約93円。小型衣類乾燥機を600Wで4時間なら2.4kWh、約74円。据置型のヒーター式乾燥機を1,250Wで2時間なら2.5kWh、約78円です。
ここから2つ読めます。1つめは、いちばん安いのはコンプレッサー式の除湿機だということ。方式による差は、除湿機どうしのほうが除湿機と乾燥機の差より大きくなります。デシカント式は、季節の適性と引き換えに電気代を払う方式です。
2つめは、除湿機と乾燥機の電気代の差が、思ったほど開かないことです。除湿機は消費電力が小さくても運転時間が長く、掛け算した結果はそれなりの額になります。金額だけで乾燥機を切る理由にはなりません。差が出るのは本体価格と、乾くまでの時間です。乾燥方式ごとの電気代の考え方は、ピラー記事でまとめています。
あわせて読む"衣類乾燥機の選び方|設置場所・容量・乾燥方式の判断軸"量と部屋で、答えが入れ替わる
洗濯物が少ない日は、乾燥機が有利です。1〜2kgなら庫内に収まり、1〜2時間で終わります。除湿機で同じ量を乾かすには、部屋を締め切って数時間かかります。
量が増えると逆転します。乾燥機は容量が上限なので、入りきらない分は2回目に回すことになり、時間も電気代も倍になります。除湿機は洗濯物が増えても機械は同じで、乾く時間が延びるだけです。シーツや厚手の毛布のような、乾燥機不可の表示がある大物も、部屋干し+除湿機なら扱えます。
部屋の条件も見てください。除湿機が本領を出すのは、締め切れる狭い空間です。浴室や脱衣所に干して扉を閉められるなら、6畳のリビングに干すより短時間で乾きます。逆に、締め切れない広いワンルームで洗濯物を干すなら、除湿機の効きは落ちます。この場合は乾燥機のほうが確実です。
併用が答えになる場面もあります。湿った空気を部屋に出す室内放出式の小型乾燥機は、除湿機と組み合わせないと部屋の湿度が上がって乾かなくなります。乾燥機不可の衣類だけ部屋干しに回し、残りを乾燥機に入れる分担も現実的です。
買うタイミング
除湿機は梅雨前に需要が集中し、在庫と価格が動きます。買うと決めているなら、シーズンに入る前の楽天のセール期間に合わせるほうが選択肢が残ります。買い回りに乗せるなら、この1点を土台にしてから残りの店舗を必要な消耗品で埋めてください。
あわせて読む"お買い物マラソンの買い回り|10店舗の埋め方"タンク容量も確認しておくと失敗が減ります。除湿量に対してタンクが小さいと、満水で運転が止まります。連続排水ホースに対応していれば、排水口の近くに置くことで捨てる手間がなくなります。価格・在庫・ポイント倍率は変動しますので、購入前に販売ページでご確認ください。